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ビデオポッドキャストの次の回が決まらない|ジャンルは変えず、テーマだけを毎回選ぶ

ビデオポッドキャストを数回撮ったあと、ゲストの候補は出るのに何を話すかが決まらない。そんなときは、番組のジャンルを1つに決めて変えず、会議ではその回のテーマだけを選びます。物流の会社を例に、社内のメモから次の回のテーマを選び、ゲストを決めるまでの流れと、制作会社への伝え方をまとめました。

収録用のマイクをはさんで2人が向かい合って話している、対談収録のイラスト

「次の回、誰に出てもらいましょうか」
「営業部の〇〇さんはどうですか。話がうまいので」
「いいですね。……で、〇〇さんとは何を話します?」

ビデオポッドキャスト(映像つきポッドキャストのこと)を数回撮ったあと、企画会議がこんなやりとりで止まっていませんか。
出てもらいたい人はいる。でも、話すことが決まらない。
ネタが尽きたのかな、と思うかもしれません。

話すことが決まらないときは、番組で扱う分野(ジャンル)まで、毎回選び直していないかを見てみてください。
ジャンルは1つに決めて変えず、会議では次の回で話すこと(テーマ)だけを決めます。

たとえば、荷物の配送や倉庫を扱う物流の会社なら、番組のジャンルは「物流」です。
その中で「10年後、荷物は誰が運んでいるのか」を話す回もあれば、「再配達は、なぜなくならないのか」を話す回もあります。

1つに固定するジャンルと、回ごとに入れ替わるテーマを左右に並べた図

目安は、ゲストの名前を出す前に「うちの番組は、物流の話をする番組です」のように、扱うジャンルを言えるかどうかです。

弊社は映像制作とWebマーケティングの会社で、企業のビデオポッドキャスト番組を作っています。
弊社が作る番組も、ジャンルは1つに固めています。

この記事で答えるのは、次の5つです。

  1. ゲストに合わせて話を決めると、何が困るのか
  2. テーマは、どんな話から選べばいいのか
  3. 次の回のテーマは、どうやって1つに絞るのか
  4. 収録した対談は、そのまま載せればYouTubeで見てもらえるのか
  5. 制作会社には、何を決めて、どう伝えればいいのか

調べて分かった事実と弊社の考えは、分けて書きます。


1. ゲストに合わせて話を決めると、回ごとに話す分野が変わってしまう

「次は誰を呼ぶか」から会議を始めると、ゲストの得意な話に合わせて、話す分野まで変わっていきます。
1回目は採用、2回目は物流、3回目は社長の経営の話、という具合です。

物流の話が面白くてチャンネル登録をした人なら、次も物流の話を聞きたいですよね。
次の回が採用の話だと、その人が見たかった内容とは違ってしまいます。

弊社は、同じジャンルで続けるほうが、見る人も「次はどんな話だろう」と期待しやすいと考えています。
同じジャンルの動画が続けば、YouTubeも、そのチャンネルを誰におすすめすればよいか判断しやすくなると見ています。

続きもの(前の回を見てから次を見るシリーズ動画)についての分析もあります(Creator Tribune、2026年5月)。
続きものは、単発の動画よりチャンネル登録につながりやすいとされています。
見た人がチャンネル登録をする割合を比べると、続きもののほうがおよそ67%高いという分析です。
同じ記事では、次に何が来るかが分かると「次も見よう」と登録しやすい、と説明しています。

ただし、何本の動画を調べたのかも、計算の方法も公開されていません。
企業の番組でも同じ結果になるかは、この数字だけでは分かりません。

続きものは前の回の続きを話す動画で、同じジャンルの番組は毎回別の話をするので、まったく同じではありません。
ただ、次もどんな分野の話が聞けるかが見る人に分かる点は、番組でも大事だと弊社は考えています。

ジャンルを決めるときは、社名や商品名を使わず、自社を知らない人にも通じる言葉にします。
たとえば「採用」「物流」「店舗運営」です。


2. テーマは、見る人が「なぜだろう」と気になる話から選ぶ

たとえば、物流の会社なら、「再配達をなくす方法」より「再配達は、なぜなくならないのか」です。
「〇〇する方法」のような話は、困っている人が検索して見に来ます。
方法が分かれば、その人の用事は済みます。
そこから次の回も見たいと思ってもらえるかは、別に考える必要があると弊社は考えています。

経理のシステムを作っている会社なら、機能の紹介のほかにも話せることがあります。
「経理の人が、月末だけ帰りが遅いのはなぜか」。
こんな疑問をテーマにする手もあります。

左に「会社が話したいこと(当社のシステムの機能)」、右に「視聴者が気になること(経理の人が、月末だけ帰りが遅いのはなぜか)」を並べ、テーマを会社の話から視聴者の話へ移すことを示した図

同じ再配達の話でも、「なぜなくならないのか」は気になる話、「なくす方法」は困りごとを解決する話です。
困りごとを解決する話にも、検索して答えを探している人に見てもらう役割があります。
両方を出すなら、10回のうち7回は「なぜ?」を話す気になる話にし、3回は「どうすればいい?」に答える話にする、という考え方があります。

  • 気になる話(7):番組を知らない人にも見てもらい、話し手や会社を知ってもらう
  • 困りごとを解決する話(3):答えを探して見に来た人に、「この会社に相談してみよう」と思ってもらう

7対3という割合に、強い根拠があるわけではありません。
気になる話を中心にしながら、答えを探している人に向けた回も入れる、と弊社は考えています。

同じ物流の話でも、先のことを考える回と現場で経験したことを聞く回では、話す内容が変わります。
たとえば、物流の会社なら次の4つが考えられます。

  • 今のやり方を問い直す話:「配送の記録をまだ紙でつけている会社は、本当にダメなのか」
  • これからを考える話:「10年後、荷物は誰が運んでいるのか」
  • 現場で経験したことを聞く話:「配達の現場で、いちばん困った日」
  • 身近な疑問を考える話:「再配達は、なぜなくならないのか」

今のやり方を問い直す話は、数を抑え、2回続けては出さないようにします。
この種類の話は、「このままでは危ない」という話になりやすいからです。
そうした話ばかりが続くと、不安をあおっているように聞こえます。
落ち着いて判断したい経営層や担当者には、見てもらいにくくなると弊社は考えています。


3. 次の回のテーマは、社内で書き溜めたメモから選ぶ

ジャンルが決まったら、その中で話せそうなことを、ふだんからメモしておきます。
たとえば、次のような出来事です。

  • お客さまから同じ質問を2回された
  • 社内で意見が割れた

メモは社内で共有して、営業や現場の人も書き足せるようにしておいてください。
進行役だけで候補を考えると、進行役の仕事で出てきた話に偏りやすくなります。

たとえば、物流の会社で、これまでに次の2回を撮ったとします。

  1. 「10年後、荷物は誰が運んでいるのか」(これからを考える話)
  2. 「物流の会社を選ぶときに見ること」(困りごとを解決する話)

営業の人がメモに、「お客さまに『再配達ってなくせないの?』と2回聞かれた」と書いていました。
この質問から、「再配達は、なぜなくならないのか」をテーマにする案が出せます。
これなら、10年後の話とも、会社の選び方とも違う話ができます。

候補がいくつかあるときは、前の回と同じ種類の話が続いていないかも見てください。
種類は、気になる話の4つと、困りごとを解決する話の5つに分けて見ます。
たとえば、「これからを考える話」が2回続いたら、次は別の種類の話を選びます。

テーマが決まってから、その話ができる人にゲストとして出てもらいます。

再配達の話なら、配達の現場を知っている社員がよさそうです。
冒頭の会議なら、「再配達の話を聞くなら、誰がよさそうですか」と聞けます。


4. 音声の番組をそのまま映像にしても、YouTubeでは見てもらいにくい

テーマとゲストが決まったら、次は、収録した対談をどんな動画にして出すかです。

木の机に置いたマイクの前で、オレンジ色のジャケットの男性と白いブラウスの女性が向かい合って話している収録の様子

ビデオポッドキャストという言葉は、もともと音声の番組に映像を付けた形を指していました。
配信サービスのオトナルは、次のように説明しています。

音声配信手法である『ポッドキャスト』に、収録風景などの映像も合わせて配信する動画と音声のコンテンツです

話している声と、収録している様子の映像を一緒に出す番組、という説明です。

映像が付く良さについて、オトナルの同じ記事にはこうあります。

手の動きや顔の表情など、音声だけでは伝わりにくいニュアンスをリスナーに届けることができます

ただ、音声と同じ内容をそのまま動画にするだけでは、YouTubeでは見てもらいにくいという報告もあります。
配信支援のPodladは、音声とほぼ同じ内容の動画版は、音声のダウンロード数の約5%しか再生されないと書いています。
ダウンロード数は、音声の番組が、聞くためにスマホなどに取り込まれた回数です。
音声が100回ダウンロードされる番組でも、動画は5回ほどしか再生されない、という割合です。
Podladが示す約5%という数字は、算出の条件が公開されていません。
企業の番組にもこの割合が当てはまるかは分かりません。

長い対談をそのまま載せても、番組を知らない人はその動画を見始めず、番組を見つけるきっかけにもなりにくい、という指摘もあります。
ポッドキャスト制作を扱うPodcast Engineersの記事には、次の一文があります。

75分間、机で2人が喋っているYouTube動画を見て、ポッドキャストを見つける人はいない

弊社は、テーマを選ぶだけでなく、その話のどこに興味を持ってもらうかまで考えておく必要があると考えています。

一方で、対談の回と、1人で話す回(ひとり語り)を比べた報告もあります。
Grow The ShowのKev Michael氏は、60分前後の動画について、1人が平均で何分見たか(平均視聴時間)を次のように紹介しています。

  • ゲストとの対談の回:14分ほど
  • 同じ発信者のひとり語りの回:5分ほど

Kev Michael氏は、見た人全員の見た時間を足した「総再生時間」についても、次のように話しています。

ゲストの回のほうが、平均視聴時間も総再生時間もずっと高い。音声ではひとり語りが強いが、YouTubeでは逆になる

音声の番組ではひとり語りの回のほうがよく聞かれるのに、YouTubeでは対談の回のほうが長く見られる、という話です。
Grow The Showの数字も、算出の条件は公開されていません。

教育動画の研究もあります(Journal of the Learning Sciences、2017年)。
学生が2人1組で見た場合、1人で話す動画より、2人が対話する動画のほうが学習効果が高いという結果でした。
ただし、ひとりでYouTubeを見る場合にも当てはまるかは分かりません。

英語の資料からの引用は、どれも編集部が訳したものです。

ここからは弊社の考えです。
対談にしただけでは、番組は見てもらえないと弊社は考えています。
収録の前に、次の4つを確かめておいてください。

  • その回を見ると何が分かるのか、1文で言えるか
  • 自社の製品の宣伝ばかりになっていないか
  • 話す順番は、前の回とそろっているか(たとえば「その回の疑問を出す→ゲストの経験を聞く→最後にひと言でまとめる」)
  • 動画の最初に、どの話を持ってくるか

5. 制作会社には、毎回同じにするものと回ごとに変えるものを分けて伝える

制作会社には、番組のジャンルと、次に撮る回のテーマを伝えます。
あわせて、まだ決まっていなければ、次の6つも制作会社と相談しておいてください。

  • 冒頭30秒:収録した中からいちばん興味を引く場面を選び、編集で動画の最初の30秒に入れるか
  • タイトルとサムネイル:誰が作るか。その作業が、撮影とは別に見積もりに入っているか
  • 進行役:毎回同じ社員1人にお願いするか
  • 話す順番:疑問を出す、ゲストの経験を聞く、まとめる、のような順番を毎回そろえるか
  • その回で分かること:見た人に何が分かる回なのか
  • ショート動画:1回の収録から短い動画を何本作るか

1回の収録からショート動画を何本か作れると、収録の回数を増やさなくても、投稿の間が空きにくくなります。

たとえば、ここまでの物流の会社なら、次のように伝えられます。

物流を扱う番組として続けたいと考えています。
進行役は毎回同じ人にお願いし、テーマとゲストは回ごとに決めたいです。
次の回は「再配達は、なぜなくならないのか」を取り上げます。
冒頭の見せ方、タイトルとサムネイル、ショート動画の本数まで含めて提案をいただけますか。


まとめ

次の回で何を話すかが決まらないときは、ジャンルは変えず、その中で話すテーマを選びます。

  1. ジャンルは、自社の仕事に合わせて1つに決め、回ごとに変えない
  2. テーマは、見る人が「なぜだろう」と気になる話を中心に選ぶ
  3. 社内で書き溜めたメモからテーマを選び、前の回と似た話ばかりになっていないかを見る。ゲストは、テーマを決めてから考える

ジャンルを決めれば再生や登録が増える、と約束できる材料は、いまの弊社にはありません。
ただ、「〇〇さんと何を話すか」で会議が止まることは、少なくなると考えています。

次の企画会議には、番組のジャンルと、仕事の中で出てきた疑問のメモを持っていってください。
ゲストを考えるのは、その中から次に話すことを選んだあとです。

撮り始めたあとで社内から「効果は出ているのか」と聞かれたときに見る数字は、企業YouTubeで登録者が増えないときの記事に書きました。


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